インタビュー
冷間圧造工具を鋼材切り出しからコーティング処理まで一貫生産・販売する総合メーカー。精度の高い金型作りを支えるACCRETECH製品を導入してくださっている三豊機工 株式会社様に、製品に対する感想や要望について伺いました。
- 三豊機工株式会社
- 代表取締役 舟橋 佳孝 様
- 冷間圧造工具の製造から販売までを手掛ける総合メーカーで、材料の切断から荒加工、熱処理、研磨、最終仕上げ、コーティングに至るまでの一貫生産を行い、ほぼすべてのタイプの圧造工具に対応できる日本でも数少ない会社である。昭和56年に開発されたDoubleHexは6ピース構造をもつ独特の金型で、三豊機工飛躍の原動力となった製品として知られている。このようなオリジナリティーと高品質を追求するオンリーワン企業、それが三豊機工である。
- 本社:〒486-0816 愛知県春日井市東野新町1-14
鹿児島工場:〒897-0202 鹿児島県南九州市川辺町清水1542-1
http://www.mitsutoyo.co.jp/
貴社の特長についてお聞かせください
舟橋:冷間圧造工具を製造から販売まで一貫して手掛けるこも特長ですが、それだけでなく自動車や建築関係のような大きなボルト・ナット工具から、時計や眼鏡、パソコンに用いるようなマイクロネジ用のものまで、幅広く工具を製造できるのも当社の特長といえます。また顧客からのニーズを積極的に具現化するのも当社の特長で、昭和56年に開発し特許を取得したDouble Hexがその典型です。これは割れにくく長持ちする金型が欲しいといという顧客の声にお応えした製品で、6ピースの等脚台形から構成されています。つまり最初から分割されているので割れにくい、という逆転の発想から生まれたものです。特許が切れた今でも、同種製品を含めて業界ではDouble Hexと呼称されるほど知名度の高い製品です。
測定用機器を導入される際には、主にどのような点について検討されますか
舟橋:私はイニシャルコストよりもトータルコストを評価基準にしますので、測定機が多少高くても、機能の充実であるとか当社へのマッチング、またアフターフォローの良し悪しなどを重視して導入を決めています。営業担当者とのコミュニケーションも重視し、当社についてどこまで把握・理解していただけるか、という点も採用の可否につながることがあります。東京精密とは30年近いお付き合いで、最初の形状測定機は、プロッターで描くXYレ コーダの導入に始まり、現在は、パソコンの解析機能を搭載した形状測定機を9台、また三次元測定機PRISMO5やDuraMaxなども導入しています。
製品導入後の感想についてお聞かせください
舟橋:検査用測定機器の導入によって、当社の技術力が向上しました。昔のようにペンとドラフターを用いていた時代は、極端な話、製品を図面に合わせてしまうこともできました。ところが今のようなパソコンによる解析の時代になると、解析の精度が非常に高いので、製造現場は否応なくその精度に対応しなければなりません。それで結果的に自然と技術が向上するのです。また、検査の基準を一番高い品質を要求してくる顧客のところに合わせますので、不良率も自然と減りました。東京精密の測定機を導入したことによる予想外の効果としては、各工程に必要とされる測定機を設置したことで、社員の品質に対する考え方が「検査に任せるだけでなく自分も責任を持つ」というように変わってきたことが挙げられます。金型製造の仕事は、作る人ひとりひとりのモチベーションによって左右されますので、これはとても重要な点だと思います。
計測機器について、また東京精密に対して期待することはございますか
舟橋:当社では自動車用からパソコン用まで、あらゆるボルト・ナット用の工具を製造しています。メガネや携帯電話用のネジのように細かい製品では、穴径がφ1.0というケースもあり、このような大きさになると測定自体が難しくなります。また世の中の風潮として、どんどん物が小型化する傾向にあるため、小さな物も高い精度で測定できるような機器を充実してもらえるとありがたいですね。同じような需要はあると思います。東京精密にはアフターフォローも含め熱心に対応していただいておりますが、欲をいえば、機器の入れ替えや修理に際して、当社の現場の不満をもっと吸い上げて、それに対応するような提案をしていただけると助かります。金型製造の技術は、機械の進歩によって大きく向上しました。しかしその一方で、人から人へと技術の伝承が必要な部分もありまして、当社が求めるような品質の製品は、今のところ海外で作るのは難しいと思っています。それを示すように、海外から当社に取引を依頼してくる会社は「高品質が要求されるケースは三豊に依頼する」といっています。使ってみて費用対効果を考えるのでしょう。値段が高くても指名買いしてくれます。そういう意味で、精度の高い当社の製品作りには、東京精密の計測機器が貢献していると思います。品質とは作る人の想いから生まれる、私はそう考えていますから、これからも従業員一同、モチベーションの向上を図りながら品質の追及に努めていきます。
東京精密より、対談を終えて
品質の高い独創的な製品を生み出すために、必要とあれば十分な先行投資をして、ひとつ上を行く製品作りに還元する。そんなモノづくりの原点について、大切さを教えていただきました。