インタビュー
金型の設計、製造を手掛ける多田精機グループ様に、 ACCRETECH製品の導入を決定された理由やモノづくりへのこだわりについて伺いました。
- 多田精機グループ
- 代表取締役社長 多田 憲生 様
- 昭和39年に株式会社多田精機設立後、株式会社岐阜多田精機及び株式会社名古屋多田精機を設立、分社化し、複数の拠点にて操業を開始。福岡にも株式会社福岡多田精機を設立した。現在は金型の専業メーカーとして金型作りのほぼすべてを内製化し、長年培ってきた金型への幅広い知識と経験を活かして顧客だけではなく、地域の方々とも積極的に社会問題解決のための共同開発に取り組んでいる。
- 株式会社多田精機、株式会社名古屋多田精機:〒474-0001 大府市北崎町清水ヶ根100-1
株式会社岐阜多田精機:〒501-1143 岐阜市東改田字鶴田93番地
株式会社福岡多田精機:〒838-0212 福岡県朝倉郡筑前町四三嶋573-1
http://www.tada.co.jp/
事業内容、特色、強みについて教えてください。
金型の設計と製造をしております。強みとしては、やはり高精度、高機能な金型を造れるところですね。主に射出形成のプラスチックの金型を造っていて、自動車部品メーカー向けの金型が90%を占めています。残りの10%は、文具や生活用品向けです。また、内製化率の高さも強みの一つですね。一般的に内製は50%程と言われている中で、我々は80%を上回っています。それにより、コストも抑えられますし高品質なものが造れる。それに加えて、様々な部分でこだわることもできます。
東京精密の測定機採用の決め手は何でしたか。
測定機の精度はもちろんのこと、使用方法や用途等、そういったことをコミュニケーションを取りながら教えていただけたという点が大きいです。オプションの仕様なども、最初から手当たり次第に追加するのではなく、必要になってから追加するというような形をとってくださるので、当社のことをとても考えてくれていると思っています。私は、技術力というのは人間関係だと考えています。技術や技能は人に宿るものなので、結局のところ、人間関係がしっかり構築され、そしてどれだけ協力できるかが発展のための大きなカギです。そういった点で東京精密さんとはちゃんとした人間関係が築けたので今では色々な装置を導入させていただいています。
METROTOMを導入されてみていかがでしょうか。
METROTOMの導入は、まず初めに現場が効率性を考えて導入を希望したことがきっかけです。当初は、便利だが値段も高いということで現場では悩んでいましたが、最終的に私が導入を決断しました。このMETROTOMという装置は、効率的に測れるかどうかだけではなく、金型メーカーにとって前提条件を変えてくれる機械だと思っています。従来は接触式で外から見て計測するしかなかったところを、内部から見ることができるようになるんですから。そこが我々にとっては非常に強みになりますし、これからの業界にとっても必要だと考えたので導入を決意しました。近年は射出成型品で強度を保障する構造体が増えてきました。そうなると、成形品の経年劣化を考えた強度保証も考えなくてはなりませんし、内部欠陥というものがとても大きな問題となります。内部欠陥は外から見えないので、いくらでもごまかそうと思えばごまかせます。しかしそれでは成形品の要求仕様を満足しません。きちんとMETROTOMのような装置を使って内部まで見て、気泡や巣が問題のある場所にあるかどうか、数や大きさはどうかということを確認する必要があります。これは当社だけではなく、モノづくり業界全体として必要なことだと考えています。実際に、当社にMETROTOMが導入されたことで、新しく来た引き合いも何件かあり、既に費用対効果を感じています。
「人」をとても大切にされていると伺いました。
先ほども少しお話ししましたが、技術は人に宿ります。そのため、人を大事にすることがこの先当社、ひいてはモノづくり業界全体にとって大事なことだと考えています。誰だって、自分がしっかりした状態で働けないのに、良い金型を造ることはできませんから。 従業員の雇用形態を分けてどうこうではなく、それぞれの人の得手不得手を鑑みて仕事を回すことが大切だと思っています。従業員それぞれが得意な部分を担うことで結果的に行える仕事が幅広くなり内製化率は上がっていきますし、自然と誰もが働きやすい環境となります。社是である「善と豊かさの循環」を念頭に、従業員だけでなく仕入先や顧客、地域の方々とも善の気持ちをもって接し合い、豊かさを循環し合えればと思っています。こうして色々な方と社会問題を解決し豊かにしようと画策する中で、雑貨や遊具など、本当にたくさんのことに携わらせてもらっています。またモノづくりは国内だけでなく海外とのやり取りも必要ですので、当社ではインドの大学ともコネクションを持ち、日本式金型の作り方ということでプレゼンやカリキュラム作りもしました。
今後計測機器業界や東京精密に期待することはありますか。
モノづくりに計測は不可欠です。海外と部品を輸入、輸出する上でモノの一つの指標として数値で取り決めるためにも計測は必要ですし、また国内で品質を保証するためにも必要なものです。 プラスチックの製品は、暫くたつと経年劣化で摩耗してしまいます。これが一年後、二年後、十年後となったときにどの程度変形しているのか、劣化しているのか、強度が下がっているのか、という計測をしてデータをためていこうと思っています。その際に、今のような形状以外にも様々な指標があると思いますので、そういった部分で色々と教えていただきたいですし、役立つ測定機を開発、ご紹介いただければと思っています。
東京精密より、対談を終えて
モノづくり業界全体に対して熱い想いを持ち、良い金型を作り続ける多田精機グループ様。「善と豊かさの循環」を念頭に、外部からでは見えない部分の品質保証にも真摯に取り組み、社会に豊かさを供給し続けています。良いと判断したものに積極的に取り組んでいかれる姿勢が、今の多田精機グループ様の発展に繋がっているのだと感じる取材となりました。